
修学旅行で゛あだち菜うどん"
ある日、岐阜から中学校の先生が来店した。
会話をしていると、修学旅行でゑの木を使いたいという事だった。40人を超える人数で当店の椅子数をオーバーする数値に驚愕し一瞬たじろいでしまった。その中で学校の考え方や先生の考え方を聞くととても興味深く感銘した。Tom料理長とも相談し、こんな素敵なコンセプトの学校なら是非受け入れようと安易に引き受けを承諾した。(先生考え方などはあだち菜うどん学会HPで紹介)
そして当日までの先生との連絡を交わしながら、実現に向けての調整が始まった。40人を超える人数は開店以来初の試みなので、椅子のみならず、グラスや食器、寸胴の数も足りない。これは先生にOKした以上みっともない結果には出来ない。そして修学旅行の生徒たちを一人でも食中毒などに見舞われてしまわない様にとの最善の注意が必要だという事の現実に直面した。スタッフ会議で共通認識にした事は「美味しいは当然で、折角来てくれるのだからインパクトもなくては面白くない。しかし、何よりも最重要視するのは安全と万が一が起こらない事を大切にしよう」と結論付けた。食器やグラスの数量を揃え、製麺所から寸胴や大ザルを借り、椅子もどうにか手配がついた。そして体験研修を兼ねた修学旅行にするという事で、あだち菜うどん学会で共に理事をしている製麺所と農家に協力を依頼と分刻みのスケジュール調整がスタートした。
課題は沢山あった「大型バスでの移動という事もあり、製麺所への移動時間や道順の選定」「13時前に到着予定で、最初に食事にしたいが、私が15時から先約のセミナー講師予定もあり外出が決まっていたが、生徒たちへ講義と質疑応答も考えると時間が不足」「農家の体験は、通常収穫した野菜をお土産として実際に食べてもらうという流れであったが、旅館泊なので不可」「製麺所も大手企業の様に何十人も同時に見学できるほど大規模ではなく、数回に分けての見学&体験にする為、かかる時間が増えてしまう」等など自店の事も含め、細かい事も入れると多大な課題があった。そこで皆で協議と作戦会議を繰り返した。正直、当初はこんなに時間も注意点もある事に気づかず安請け合いしてしまったという事実に直面したが、あだち菜うどん学会のメンバーともゑの木一同ともミーティングを繰り返し、受け入れ態勢を整える調整が出来たのは、前々日だった。
そして当日朝から皆が自分の準備を進め、大型バスを迎えた。緊張も高まり、鼓動も急増した状態で、バスの中に足を踏み入れ、今回の足立区で、あだち菜うどん一連を体験する趣旨を説明し皆との集合写真に参加させてもらった。当店であだち菜うどんと東京ハニーぷりんを食してもらい、30分ほどの講義をさせてもらい生徒たちは製麺所や農家へ、私はその後のセミナー会場へ移動した。私は2時間未満しか時間を共有出来なかったが、食事にも話にも大変喜んでもらえて安堵と感激をする事ができた。
製麺所&農家見学などを終えた生徒たちはゑの木に戻り、料理長との質疑応答が始まった。彼は明るいが寡黙な職人気質なので、普段は必要以上話さないが、ゑの木を代表した。
生徒からの質問は「うどんの事、ゑの木の事、地産地消の事」などと、「Qこの仕事していて嬉しい事はなんですか?」「Aお客様が美味しいと笑顔で言ってくれるその言葉と顔を見た時に幸せを感じます」「Q仕事で大変だと思った事はなんですか?」「Aどんな仕事でも些細な事から大きな事で、大変な事やつらい事はあります、それでもお客様の笑顔を見たり、その時に自信がどう捉えてどう動くかがで、きついと感じる事が楽しい事に大きく変わったりします。」など色んな質疑応答になった。それが後日の手紙で心に響いていた回答を読んだ時は涙腺が緩んでいました。
今回は岐阜から東京を見にきたのに、そこが六町という東京都の端にある町での研修という事で、生徒達には東京がどう映ったか一抹の不安も感じていたが、後日届いた手書きの「お礼のお手紙」を拝見し感動した。その内容一部は「あだち菜うどん学会HP」で紹介しています。私たちが中学生へ講義などをさせて頂いたが、逆に色んな事を学ばせてもらえました。「先生が事前に下見に来て、それを生徒達にはHPを確認させて話し、生徒達の意見を聞いて研修プログラムを確定するという柔軟な考え方」、「挨拶や礼儀もちゃんとしていて、食べ終えた食器をまとめたり、運んだりも手伝ってくれ、更に最後帰り際に先生がトイレをキレイに使ったかを確認し、キレイで良かった事を生徒に報告する事」「自主的にメモや質問を皆がし、そして後日自分の手で自分達の感想を手紙という物で送ってくれる心遣い」などなど先生も生徒もとっても心温かい対応と我々自身も勉強になる事が多く、とても素晴らしい機会になりとても光栄でした。
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